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教員の三浦紗綾子です。
皆さんは、靴で足が痛くなったり靴ずれを経験したりしたことがありますか?私はあります。
そうした興味関心から靴産業を調べ始めて10年、その成果をまとめて、英書を出版いたしました。
タイトルを日本語にするなら、「成功した社会活動と意図せざる市場の創発:日本における足の健康とファッションをめぐるたたかい」です。
なんだか難しそうですが、どのような内容か、簡単に紹介したいと思います。
皆さんは、シューフィッターを知っていますか?今では、靴店や百貨店でよく見かける存在ですが、それは、足の健康を求める運動の結果広まったことをご存じでしょうか。
日本で一般の人にまで靴が広まったのは戦後のことです。靴と足の健康の関係に誰も関心を持たない中、ある一部の人たちが足の健康の重要を訴えて試行錯誤する中で、シューフィッターの養成が開始され、靴小売店にそれが広まりました。
そうしてシューフィッターは広りましたが、それで足の健康の問題がすべて解決したわけでもありません。
シューフィッターが広まったことで足の健康への関心は高まりましたが、それによって予想外のこともおこりました(以前ブログで紹介した論文の内容もその一つです)。
こうした歴史的過程がまとめられた本になっています。
歴史的過程を明らかにするうえで、多数の業界紙誌・一般紙誌を確認しましたが、なにより重要だったのはインタビューでした。靴業界に関係する58名の方々に合計64回、それまでの取り組みや考えを伺いました。また正式なインタビュー以外にも、多数の方からコメントや情報提供を頂きました。会社や工場・作業場、店舗の見学もさせてもらいました。いずれも、参考になるだけでなく、とても面白く、ドキドキわくわくしました。
また、経営学の研究者の皆さまから、多くのアドバイスやコメントを頂きました。
こうした出来上がった本です。ぜひお手にとってみてください。
(出版社の当該書籍のサイトはこちらです。)