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こんにちは。教員の前田です。調査研究のために、ロンドンに出張しています。
きょうは、メディア研究者であれば「あ、あれね」と気づく、ロンドンの隠れたスポットをご紹介しましょう。
左の写真をご覧ください。「1652年にロンドン初のコーヒーハウス(今で言う、喫茶店ですね)がここに建つ」とでも訳しましょうか。でも、「コーヒーハウスとメディアに何の関係があるの?」とお思いでしょう。
ドイツの哲学者、ユルゲン・ハーバーマスが「公共性の構造転換」という著書で、17世紀イギリスのコーヒーハウスに触れています。時代は清教徒革命から名誉革命に至る、いわゆる「市民革命」の真っただ中です。この時代にできたコーヒーハウスは、コーヒーを飲みに集った人たちが世の中のことを自由に議論する場となっていきました。ハーバーマスは、そういう「場」のことを「公共圏」と呼び、イギリスのコーヒーハウスをその典型例としたのです。
議論のための情報は、その時代に数多く創刊されていた「新聞」が提供していました。コーヒーハウスには何種類もの新聞が置かれており、お客さんは自由に読むことができたそうです。世の中のことを自由に議論するためには、正しい情報が欠かせないのは当たり前ですが、17世紀のイギリスのコーヒーハウスでは、「世論の形成とメディアの役割」が分かりやすい形で展開されていたようです。
ということで、メディア研究をする私としては、一度は行ってみたかった場所です。肝心の場所ですが、イギリスの金融の中心「シティ」の一角です。中央銀行のイングランド銀行からは歩いて3分程度。通りからとても細い路地を入った奥にあります。今は、Jamaica Wine Houseというバーが建っている場所です。場所柄、ここに集った人たちは様々な取引を行う人たちだったはずで、商売に関する情報交換が主目的だったのでしょう。
ちなみに、イギリス初のコーヒーハウスは1650年にオックスフォードに出来たそうです。